釣り事件

夏になると、僕は子供3人連れて釣りに行く。

須磨か尼崎にある海釣り公園でのサビキ釣りだ。

サビキとは、釣り糸の仕掛けの一番端に小さなカゴをつけて、その中にオキアミをつめ込んで海に落とすと、そのオキアミが海にばらまかれそこに魚が寄ってくる。その小さなカゴの上には4~5本のキラキラした釣り針がついており、それを魚がエサと間違って食いついてきたところを引き上げるという寸法だ。

夏は、回遊魚のアジやサバが回ってくるから初心者の我々でも結構釣れる。

だから夏場の釣りは子供達が楽しくて仕方ないらしく、なかなか「帰ろう。」とは言わない。終わって帰ったら4~5時間の釣りなのに顔や両腕はやけどのように真っ赤に日焼けしており次の日診察に来られた患者さん達が僕を見て何か問いたげな顔をしている。

先日も子供を3人連れて尼崎の海釣り公園に行ってきた。

朝8:30頃に入って、11:30頃までに20cmくらいのサバが20匹ぐらいと15cmくらいの小アジが10匹くらい釣れており、子供達も楽しそうにしていた。

僕達の後で釣りをしていた親子連れの方から(お父さんと小学生くらいの娘1人)「ウォ―、でかい。すみません、誰か~。」という声が聞こえる。

ハッと振り返ると後ろのお父さんの釣り竿にめちゃめちゃ大きな魚がかかっているようだ。「すみません、誰かーーーーー。」

その声を聞いて、嬉しがりの僕と長男(中学1年生)が海釣り公園には大きな

タモ(網)がいくつも設置してあり、それを持って助けに走った。

水面には大きなチヌ(黒鯛)が顔を出している。これは明らかに海釣り公園の入り口の所に貼っている魚拓に乗るくらい大きなチヌだ。

自分のイメージとしては、魚の後ろの方から、そーっとすくい上げようとしたが、息子のイメージは違ったらしい。嬉しがりが2人でタモを持っているものだから、うまくコントロール出来ない。あーだこーだとやっているうちに、タモの輪っかの部分が魚の頭にコチーンとあたって魚が見えなくなった。

横から「あっ、バレた。」という悲しそうなお父さんの声が聞こえ、シーンとその場が凍りついた。

ハッと我に返って「すみませんでした。」と僕が謝ると、向こうのお父さんが

「いいですよ。そんなん全然いいですよ。助けて下さって有難うございました。」と優しく言ってくれる。

長男と2人で娘達の待ってる釣り場に戻ってもテンションは下がりきったままである。

2人がチーンと静かに座っていると娘達が横から

「何でなん?何で魚が逃げたん?」と僕達をたたみかけるように聞いてくる。

長男が「あれ、誰が悪いん?僕らが悪いの?」と聞くから

「あれは僕らが悪いんちゃうか。2人でもたついてもうて、魚逃がしてもうたんや。悪い事してもうたなー。」僕が言うと

「なんかせっかく手伝いに行ったのに、僕達までさみしくなるね。」とのこと。

「そうやな。まーしょうがないなー。」と言いながら結局その後テンション上がらず釣りを終わることにした。

帰る前にもう一度さっきのお父さんの所に行き

「本当に申し訳ありませんでした。」と謝ってその場を後にした。

「いーよ。いーよ。」と言ってくれるお父さんの笑顔が痛かった。

海釣り公園の入り口にある売店付近に荷物を置き、売店から少し離れた休憩場に座って4人でアイスを食べながら涼んでいた。

10分ぐらい経った時に先程のお父さんが娘を連れて売店の方へ戻ってきた。

あちらも釣りをやめて帰るようだ。

お父さんからは僕達4人の姿は見えない。

お父さんが電話をかけはじめた時、僕は荷物が邪魔になりそうなのでその荷物を取りに近づいた時、お父さんの電話の喋る声が聞こえてきた。

「もしもし、さっきめっちゃ大きなチヌを釣りかけてんけどさー。」

このタイミングで間が悪く荷物を取りに来た僕と目が合った。

僕がペコリと頭を下げると、お父さんは一瞬ハッと息をのんで、

「バラして逃がしてもうてん。」と電話に喋ってた。

あの時僕と目が合っていなかったら、多分

「助けに来た親子がタモを魚にぶつけて逃がしてもうてん。」て言うてたんやろなーと思いながら、あのお父さんの対応が大人の対応ってもんなんやろなーって思いながら、またあれが逆の立場やったら自分は子供達に何て言ってたんやろう

などいっぱい考えさせられたある釣りの日のお話しでした。

 

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絵本の紹介

 

お父さん絵本を子供たちに読んであげて!

7月にマムクリニックの「3才のつどい」で‶お父さん絵本を読んであげましょう”

をテーマにお父さん方が集まって今読んであげてる絵本を紹介してくれました。

紹介してくださった中から次の5冊を写真にのせておきます。

マムのおやつガールより